2011年2月18日金曜日

トカイ アスー 3プットニョス 2002




ワインの名前:トカイ アスー 3プットニョス 2002
種類:貴腐ワイン
原産地:トカイ、ハンガリー
値段:2300円
味わい:極甘口
感想:貴腐ワイン(ブルーチーズ的なあれ)を初めて飲んだ。あまくておいしい。でも、ちょっと癖がある。

トカイワイン

2011年2月16日水曜日

砂糖のあるところに奴隷ありー川北稔『砂糖の世界史』


川北稔(1996)
岩波書店

関連項目
世界システム論
I・ウォーラーステイン
帝国主義
奴隷

目次

プロローグ 砂糖の不思議・・・1

第1章 ヨーロッパの砂糖はどこからきたのか・・・11

第2章 カリブ海と砂糖・・・33

第3章 砂糖と茶の遭遇・・・61

第4章 コーヒー・ハウスが育んだ近代文化・・・91

第5章 茶・コーヒー・チョコレート・・・113

第6章 「砂糖のあるところに、奴隷あり」・・・139

第7章 イギリス風の朝食と「お茶の休み」-労働者のお茶-・・・155

第8章 奴隷と砂糖をめぐる政治・・・177

第9章 砂糖きびの旅の終わりービートの挑戦ー・・・189

エピローグ モノをつうじてみる世界史ー世界史をどう学ぶべきかー・・・201

あとがき


引用
こうして、砂糖や綿織物のような「世界商品」は、地球上の人間の配置をスラ変えてしまいました。ダイエットの流行で、砂糖がむしろ警戒の目をもってみられ、ナイロンやビニールにはじまる化学繊維の登場で、綿織物がもはやそれほど重要ではなくなった今でも、それらの影響は強く残っているのです。8p

17世紀のイギリスの料理では、ありとあらゆる種類の香料をふりかけるのが大流行となりましたが、 78p


歴史を学ぶということは、年代や事件や人名をたくさん覚えこむことではありません。いま私たちの生きている世界が、どのようにして今日のような姿になってきたのかを、身近なところから考えてみることなのです 208p


メモ
アクィナス、シーナー、「砂糖は万能薬」
ジョン・ウェスレイ、お茶を飲むことに批判的

感想:
 砂糖がヨーロッパの世界にどう広がっていったのか、その経緯を中心に近代史の流れを描いた本。大航海時代、植民地、プランテーション、奴隷制度、三角貿易、産業革命などの用語がお互いにリンクしている様が砂糖に焦点を当てることでイメージとして伝わってきた。
 砂糖に対するイメージが時代で変わっていくのもおもしろい。大航海時代前までははその白さ・貴重さから神聖なものや万能薬としてのイメージが強く、時代が下ると舶来品として上流階級のステイタス・シンボルとなり、産業革命以降は庶民の必需品となる。さらに現代になると病気もとになるネガティブなイメージも強い。
 本筋の登場人物ではないが、スコラ神学のトマス・アクィナスやイスラム哲学のイブン・シーナー、メソジストのジョン・ウェスレーといったキリスト教関連の人たちも出てくる。切り口を変えてつむがれる歴史というのはまた違ったものに見えてくるなぁと思った

あわせて読みたい
コーヒーが廻り世界史が廻る―近代市民社会の黒い血液 (中公新書)
知の教科書 ウォーラーステイン (講談社選書メチエ)

2011年2月8日火曜日

機械帝国ー『われらはみな、アイヒマンの息子』

ギュンター アンダース
晶文社
発売日:2007-02-25

政治哲学者アーレントの夫のG・アンダースがアイヒマンの息子に宛てた公開書簡。全体主義、世界の機械化、想像力の限界、等々。

Günther Anders(2001) Wir Eichmannsöhne . 3rd ed.
(ギュンター・アンダース,岩淵達治(訳),高橋哲哉(解説) (2007)
『われらはみな、アイヒマンの息子』晶文社)

著者:ギュンター・アンダース

関連項目
全体主義
ホロコースト
アイヒマン
原爆



目次

クラウス・アイヒマンへの公開書簡 9

二度の喪失 13
もっと多くの喪失 19
尊敬がないところには哀悼も生まれない 23
人を尊敬するもののみが尊敬を受けることができる 26
怪物的なもの 31
暗い世界 38
地獄のような法則 44
しかし父上はそれを考えていた 47
失敗をチャンスにする 52
利用された落差 55
怪物的なものと犠牲者たち 64
六、000、00一番 70
機械の夢 73
私たちはアイヒマンの息子 84
新しい父は昔の父 90
チャンス 96
追伸 102


クラウス・アイヒマンへの第二の書簡 115

無関心に反対する 117

[解説]機械化する世界と想像力 高橋哲哉 157




アーレントの夫のG・アンダースがアイヒマンの息子に宛てた公開書簡。全体主義、世界の機械化、想像力の限界、等々。
”「親不孝が徳にもなりうる」というのは悲しいけれども真実です”


あわせて読みたい
ヒロシマわが罪と罰―原爆パイロットの苦悩の手紙 (ちくま文庫)こちらはアンダースがヒロシマの原爆投下に参加した米軍パイロットとの往復書簡
イェルサレムのアイヒマン―悪の陳腐さについての報告アンダースの最初の妻アーレントによるアドルフ・アイヒマンの裁判記録
服従の心理「アイヒマンとその他虐殺に加わった人達は、単に上の指示に従っただけなのかどうか?」という質問に答えるために、心理学者ミルグラムによって始められた実験、通称“アイヒマン実験”の記録。




es[エス] [DVD](原題はDas Experiment)アイヒマン実験のバリエーション、スタンフォード監獄実験の設定を元にした映画
聖戦士ダンバイン DVD-BOX:機械・想像力・戦争で連想したアニメ。中世ヨーロッパのような異世界が舞台だが、現代の戦争について考えさせられるアニメ

2011年2月6日日曜日

脱出という名のドロ沼ー『フーコー』(青灯社:入門・哲学者シリーズ)



今回の主人公:M・フーコー
著者:貫成人

関連項目
フランス現代思想
ポストモダン



目次

「自由な主体」を問いなおすーまえがき 3

第一章理性の構築ー『狂気の歴史』 11

1「理性の不安」 12
(1)「理性」「知性」「想像力」「感性」
(2)カントの不安
2狂気と理性:『狂気の歴史』 19
(1)デカルトの懐疑
(2)「大いなる閉じ込め」
(3)中世における「狂気」
(4)近世以降
(5)狂気経験の構造
3知性の相対化 37


第二章知の台座ーヨーロッパ的知という構造 45

1思考の土台:エピステーメ 46
2動植物についての知 48
(1)十六世紀
(2)十七ー十八世紀
(3)十九世紀
3エピステーメが生み出すもの 57
(1)エピステーメの転換
(2)生命と人間の誕生
(3)人間の「誕生」
(4)人間の死


第三章パノプティコンー自己規制によって作られる自我 75

1死の権力 76
(1)身体刑
(2)公開刑
(3)透明な権力者と不透明な大衆
2生の権力 84
(1)網の目の緻密化
(2)生きている近代:学校
(3)規格化
(4)可視化
(5)生の権力
3規律 96
(1)管理・監視
(2)「よく生きること」
(3)<主体>という虚構


第四章「私空間」の編成ー『性の歴史Ⅰ』 107

(1)性をめぐる言説
(2)学校、ヒステリー、性科学
(3)<性>という虚構


第五章生政治と自己への配慮ー抵抗の拠点? 119

(1)フーコーの軌跡
(2)抵抗の主体?
(3)人口の政治学
(4)自己への配慮
(5)フーコーの起爆力


あとがき 133

メモ
固まりミルク
阿呆船


感想:この前読んだ『ハイデガー』が分かりやすかったので同じ著者のフーコーの入門書も読んでみた。やはり読みやすかった。
理性の不安・人間の誕生・生の権力・性という虚構・自由という檻…まさに出口なし!しかし哲学者というのは常識をどんどんぶち壊していくんだなあ。にしても固まりミルクというフレーズが印象的だった

あわせて読みたい
ティファニーで朝食を (新潮文庫):自由とは何か。この物語の結末にはフーコーがおこなったことのすべてが凝縮している。
監獄の誕生―監視と処罰:権力について書かれた本。パノプティコンの話が出てくるのはこの本